コロナ渦 小劇場の今 Episode 01
シアターオーナー・映画監督の速水です。
2020年からコロナの影響で僕が新宿で運営しているミニシアター・小劇場も大きな打撃を受けています。
利用者に当たる劇団や上映をしたいという映画プロデューサーや配給や監督さんも激減しました。
ミニシアター・小劇場がこういった場合に受けるダメージっていうのはいくつかあります。
ひとつは家賃。シアター・劇場の家賃そのものがかなり大きい。
なぜなら大抵の場合通常の会議室やオフィススペースよりも面積が必要(小さいシアターであったとしても)だからです。
それに加えてスタッフがいる小屋の場合はそのスタッフのお給料。
仮にアルバイトスタッフだったとしても、スタッフを休ませてしまうと、その人の収入がなくなり生活が困窮してしまう。
関連して、余談だけれど、最近は経済の勉強なども今更始めてみているけど、日本のデフレ状態は90年代からずっと続いているけれど、「需要(欲しい人)」と「供給(提供できる人)」のバランスでいうと「供給能力」は日本は結構あるけど「欲しい人」が減ってきていたわけです。欲しい人が少ないから値段を下げて安いものがたくさん出回る。
でも「供給」できる環境にはまだ救いがある。モノやサービスを発信する能力や人材が日本にはあるからだ。でも今回のコロナで例えば従業員を減らしたり、設備を減らしたりしていけば「供給」する側が死んでいく。
文化やアートも同じ。供給する側のアーティストやシアターが減ってしまえば社会が滅んでいくことになる。そこを考えてみて欲しい。アートや芸術、文化は経済の一部である。
僕の運営する新宿アットシアターは「組合・ユニオンシアター」という形をとてスタートしているから、アーティストである映画監督やプロデューサーや俳優の会費で運営されてる。(とはいっても全体の経費の1割程度の会費しか集まっていない)
光熱費はインターネット通信費も考えると結構かかる・・・
ぶっちゃけたことを言えば新宿アットシアターの経費は月ミニマムで20万。安いほうだ・・・
でも1年間ほぼ全てのイベントがキャンセルになった2020年で考えてみると、12ヶ月で240万の赤字を僕が背負いこんだことになる。
通常のミニシアター・小劇場はつまりこれ以上の赤字が出ているというわけだ・・・
去年の緊急事態宣言での影響はかなりある。
ご存知かもしれないけれど、イベント(舞台公演や上映会)はまずイベントを企画する人が1年近くかそれ以上前から準備を計画し、イベントそのものの練習時間だったり、プロモーション期間だったり、そのれかかる準備期間だったりを事前にやらなければならない。もっと言えばそれらをやるための人の確保だったりいろんな準備が関わってくる。そうなるとどう早く計画しても1年ごの興行を目指しての準備になるわけだから、シアターのイベントが1年分キャンセルになるということは翌年の1年分もイベントが無い、ということで2年分のダメージになっているわけです。
クラファンをしようと思ってもみたし、周囲の仲間からその声もいただいたのだけど今の今までやってきていない理由があります。
それはお金を出してくださる方に対するリターンが仮に「シアター存続のため!」であっても、それができる確証がないのに貰うなんて・・・っていうちょっと真面目すぎるかもしれないけど思ったりしていたからです。
でも「それでもいいよ」といってくださる方がいるならやってみてもいいのかと思い始めている今日この頃です。